昨夜、月原舞作ボイスドラマ第5作目「トイズメモリー~玩具達への鎮魂歌~」を公開しました。月原の私生活が忙しくなり予定より遅れての公開となりましたが、無事世に出すことが出来て安心しています。見てくださった皆様、ありがとうございます。
2021年12月26日、某駅ルミネ(だっけ?)レストラン街、オフ会で集まった皆の昔話から思いつき、書き始めた今作。前作「ハイパーヘンゼルと超グレーテル」と同じく、あまり深く考えずに3日くらいで台本は出来ました。深く考えていないからこそ突っ込みどころや日本語が間違っている部分も多々あると思いますが、どうかおめめを瞑っていただけると助かります。
「トイズメモリー~玩具達への鎮魂歌~」
この題名からわかるように、この作品はかつて私の玩具として生きてくれた彼らの記憶と、彼らへの鎮魂歌です。私の想像力と表現力の発達に大いに貢献してくれた彼らに敬意を表し、「憶えているよ」と伝えたくてこの作品は生まれました。
星川舞は小さい頃の私がモデルです。不気味で汚いバケモノのような笑い声はどうしても外せない要素でした。そのため、前作「ハイパーヘンゼルと超グレーテル」に出演していただいた、一皮向けている女性ボイスコーポレーター:ゆゆさんをキャスティングしました。作品の核となる星川舞を、無邪気&天使&悪魔な演技で的確に表現してくださいました。
星川家父は月原の父がモデルであり、作中の星川家親子の会話は、実際に月原家父娘間で行われていた会話です。娘にでたらめと残酷を教えるクソ親父として、おもちゃたちから相当嫌われていましたが、実際私の父もこんなでしたので嫌われていたと思います。CVは、若さと父親の境目を醸し出すお声の持ち主:角谷知樹さん。イカれ具合と親バカ具合をちょうど良く表現していただきました。
モデルとなった私の父は単身赴任で、実際は1ヶ月に一回会えるかどうかでした。それを理由に様々な大人から可哀想な子扱いされ、私自身悔しい思いをよくしたものです。ですが、今作の星川家親子の会話作りを通して、私の父との楽しかった思い出を振り返り、「可哀想な子」というレッテルを貼られた悔しさを晴らせたような気がします。この場を借りて、お父さんありがとう。
パーツバラバラ事件の被害者達は、ロボット役たかおさんのエピソードから生み出しました。人形のパーツをバラバラにするって、小さい頃よくやったことじゃないですかね。
そんな被害者第一号・ロボットは、おもちゃ達の中心人物の1人であるため、安心して任せられる役者:たかおさんに演じていただきました。迫真の「ダサいなこりゃ酷い」と「レンジでチン!?」がお気に入りです。「ロボットのくせして表情豊か」がしっくりくるキャラクターになりました。
被害者第二号・ウルトラメン役は、「人間くさい陽キャの極み」のような奇跡の声帯を持つ役者:はいろーさん。ロボットとの下半身騒動のくだりは、「男子高校生のじゃれ合いのイメージ」と要望を出していましたが、すごく楽しそうで欲しかった演技そのものでした。
被害者第三号・怪獣役は、月原の台本作りにかかせない天災:水月弦音くん。綿あめみたいで優しすぎる声が怪獣の役に似合わなくて、そのギャップが良いなと思いキャスティング。困り顔が良く似合う、ちょうどよく後輩感が出るキャラクターになってよかったです。
ところで彼らに舞ちゃんがつけたごみカスセンスな名前、みなさん憶えていますか?
リサちゃん人形三姉妹は、実際に私の家にあったリカちゃん人形たちがモデルです(作品内では姉妹だってことがあまりいかしきれず無念)。実際に髪の毛を燃やし、服をはいで、口の中に入れて、コップに頭をつっこんで、散々な扱いをしてしまいました。
リサはおもちゃたちの中心キャラクターですので、編集中に変更点が出来た場合、彼女の台詞を増やせばうまく回ると思い、すぐ収録できる月原が担当しました。実際変更点はいくつもあって、私自身4つくらいリサの台詞を修正・追加しています。企画者自身の役者参加は、こういう時便利です。
ユキとアキは、「可愛い」が足はやしてマイムマイムしている役者:mochimiyuさん、透明感あるけど確かなお声の持ち主:依さんにおまかせしました。マジで可愛かったです妹たち。明るく話す可愛い女の子は、やっぱり作品にかかせない存在です。もののけ姫ごっこは本当にやっていました。ティッシュを体に巻いて、輪ゴムで腰のあたりを止めて、ソファーの上を山に見立てて駆け回らせていました。
パズルピース三姉妹は、初期構想にはいなかったキャラクター達です。しかし、私がパズルピースひとつひとつに名前を付けていたというエピソードを使いたくて、「私はゴンザエモンよ」という台詞をどうしても入れたくて作りました。
長女役は春川鈴香さん。「ゴンザエモン」という単語を春川ボイスで聞きたい、そして絶対持っているだろう高いギャグセンスを月原の作品でお借りしたいという思いで配役しました。冷静沈着だけどあたたかい、リサとはまた違ったお姉さんを表現してくださいました。
次女・三女役はそれぞれ柳瀬きりさんと姫桜りりかさん。お二人とも見事に表情筋をぶっ殺していましたね。柳瀬さんの透明な針が入ったような声と、姫桜さんの砂糖水のような声のバランスがちょうどよかった。「バカね」「クソね」「なんて愚かなの」の3コンボは結構うまくいったと思います。
シベリアファミリー・ひつじの男の子は、シルバニアファミリーが元になっています。実際に月原の実家にいました。紫のTシャツと緑の半ズボン、マジックで描きました。ボディペイントしていました。本当にごめん。現在は、月原の小学生時代の同級生の姪のおもちゃになっています。
CVは「クソデカ桃太郎」以来の月原作品出演:三玖巧さん。可哀想で可愛い男の子をやらせると、彼の右に出る者はいません。シベリアの家出発言という物語の「転」を作る役割を担っていただきました。彼の演技のおかげで、「ためごろう」は応援したくなるおもちゃになってくれたと思います。
ピカチー指人形は、小さい頃月原が筆箱をレンジでチンしたエピソードから生み出しました。つまり、元は玩具ではなかったということですね。でも、どうしてもレンチン事件は描きたかったので、指人形を登場させました。
CVは、もちっとした声の持ち主:ゆきじさん。彼女のような、誰が聞いても可愛い声をしている方にこそ、ギャーギャー騒ぐ役をやって欲しいと思ってしまうのは私だけでしょうか。実際ギャーガー騒いでいただき月原満足です。それでも最後は、この作品で私が一番書きたかった台詞、「いつか遊んでもらえなくなって、忘れられちゃうかもしれない。でも、思い出に残るかもしれない。だから頑張ろう。」をしっかりキメていただきました。ありがとうございました。
エンディング曲はTrial&Errorさんの「MY station」です。三年ほど前に見つけた神曲で、いつか自分の作品で使わせていただきたいと思っていました。歌ってくれたのは、前作「ハイパーヘンゼルと超グレーテル」で圧巻の紅蓮華アカペラを披露してくれた天才歌手:朝椋サクヤさん。今回もなんか泣きそうになる歌をありがとうございました。サクちゃんの歌う「MY station」は、彼女のYouTubeチャンネルでも公開されると思いますので聞いてね。
今回は、今まで私が作った作品の中で最多のキャラクター数で、編集にすごく時間かかりましたし、すごく大変でした。一作品に10人を超えるキャラクターを出したのは今回が初めてです。たくさんの声をバランス良く繋げるのって、メチャクチャ難しいです…。これからも10人以上が登場するボイスドラマを作る予定がありますので、良い経験になりました。
「いい話だ…」と普通に感動する方もいれば、「イイハナシダナー」と半笑いでエンディングを迎えた方もいたと思います。聞く人によってさまざまな捉え方をされる作品になりました。しかし、どんな捉え方でも受け取っていただきたい、ひとつ一貫したメッセージは込めています。先述した通り、私がこの作品の基盤においたメッセージは、「みんなのこと、憶えているよ」です。
ピカチーの「いつか遊んでもらえなくなって、忘れられちゃうかもしれない。でも、思い出に残るかもしれない。だから頑張ろう。」に対するお返事がこの作品です。今は押し入れで眠っているであろう彼らへの鎮魂歌です。これでおもちゃたちから月原がガチで嫌われていて(それはしょうがない)、「うるせえ!」と跳ね返されてしまったら、流石月原の玩具という感じで、それもそれで面白いですけどね。
反省点は多々ありますが、初めて自分のメッセージを込めた作品を世に出せたことで、ひとまず満足です。
月原自身はこれから私生活が更に忙しくなり、創作に割ける時間は少なくなりますが、また何かしらこのようにメッセージ性を持たせた作品を作りたいと思います。その時はまた、よろしくお願いいたします。
改めまして、今回私のオファーを受け参加してくださった役者の皆様、元ネタを提供していただいた方々、そして「トイズメモリー~玩具達への鎮魂歌~」を見てくださった皆様、ありがとうございました。
月原舞
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